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幻となった坦々麺の名店、品川・天華

かつて品川南口の闇市跡の路地裏に、担々麺の名店・天華があった
店主の金子泰治さんが2015年4月に亡くなったため、いまはもう別の店になっている
天華
じいちゃんが亡くなった直後にたまたま店に行ったところ、店主が亡くなったので当分の間閉店します、とばあちゃんの名前で貼り紙がされていた
愕然とした
あの担々麺、もう食べれないのか。。まじか。。
ぼくは担々麺が好きで好きで、国内外あちこちの担々麺を食べ歩いているんだけど、あのレベルの担々麺はどこに行っても食べられない
そんな担々麺だった
当然、無化調
鶏だしのきいたシンプルな汁なし担々麺
メニューの名前はずばり「正宗四川担々麺」
いま流行りの担々麺、脂こくて、辛くて、胡麻のにおいがたってるやつ、あれは日本の担々麺
島国日本で独自に進化をとげた、いわばガラパゴス担々麺とも言うべきもので、もともとの担々麺とは別物なのだ
天華の担々麺は、砕いたピーナッツに、花椒と唐辛子が控えめにきいていて、食べてるときは少し痺れがきて、食べたあとには少し辛くなって体が熱くなる、そんな担々麺だった
生の刻みネギも少しだけ入ってた
ネギとピーナッツがアクセントになって、食べてて楽しくなる一品
いま思えば、あのシンプルな味は、紹興酒ではなく、清酒を使ってたのではないか
ばあちゃんとじいちゃんの絶妙のコンビネーションで瞬時に出てくる担々麺は、もう芸術といってよいくらいの完成度だった
初めての客が「汁なし担々麺ください」なんて注文をしようもんなら「担々麺は汁なしに決まってんだよ!なんにも知らねえくせしやがって」とじいちゃんに怒鳴られたもんだ
やはり「正宗四川担々麺」という名前には、かなりこだわりがあったのだろう
もしかしたらじいちゃんは、支那に出征してたのかもしれない
しかし四川も重慶も日本軍は攻略出来なかったわけだから、支那方面に行っていたとしても四川や重慶には行っていないはず
うちのじいちゃんは生前、酒を飲むと、戦争で重慶まで行った、とよく話をしていた
しかし軍歴証明書を見ても、重慶までは行った形跡かなかったし、整備兵なので隠密で重慶に行ったなんてこともないはず
もしかしたら当時、重慶爆撃に参加した人たちの中には、重慶を陥落させれなかった想いみたいなのがあって、それで重慶や四川に思い入れを持っていたのかもしれない
重慶は、今も小麺で有名で、中国のどんな都市にいっても「重慶小麺」の店があるほど
重慶小麺は、日本で言えば麻辣麺と呼ばれるような麺で、安くてうまいので中国全土でよく食べられている
しかし担々麺のほうは、本場・四川省の省都である成都でも、いまはうまい担々麺を出す店がもうほとんど残っていない
ぼくが唯一気に入ってる店はここ↓
永記湯元面館
三国志の天才軍略家・諸葛孔明を祀る武候祠の近く、チベット人街にある老舗
ここの担々麺は、安くてうまい
麻辣麺もあるが担々麺もある、という渋い店だ
成都では、いい加減なファストフード的な担々麺が増えていて、観光客には人気みたいだが、ぜんぜんおいしくない
どの店も、はっきり言ってまずい
だいたい中国で担々麺を注文しても、ただの麻辣麺が出てきたりするので、中国にはもう担々麺なんて存在しないに等しい
そんな中、この店は、麻辣麺とは別にちゃんと担々麺を出してて、これがまたうまくて安い
地元の人にも人気で、朝から客足が絶えない名店なのだ
本場・四川では、担々麺は汁なしだ
日本の担々麺は独自の進化を遂げて、いつしか汁あり担々麺になったと言っていい
なので、中国の担々麺と日本の担々麺は、別物だと思ったほうがよい
担々麺は胡麻、というのも日本独自の概念だ
成都の永記湯元面館では、担々麺に砕いたピーナッツが入る
胡麻は入ってない
まさに天華の担々麺の原型とも言える担々麺が味わえる
永記湯元面館の担々麺を、出汁をきかせてまろやかにすると、天華の担々麺に近くなるように思う
そういう意味でも、やはり天華は貴重な店だったのだ
天華の店主の息子さんが、赤坂四川飯店で20年以上修行された後、新浦安で中華料理屋をやられてたが、その店もいまはもうない
中華ダイニング 王冠
天華は担々麺の名店ながら、なぜか「コショーそば」が人気だった
天華の正宗四川担々麺
天華のコショーそば
ランチタイムにいくと、近所のサラリーマンで開店から満席だった
みんなコショーそばをたのんでて、担々麺をたのむ人を見たことはなかった
そしてぼくだけ担々麺をたのむのがいつものパターン
息子さんの店でもコショーそばを売りにしていたようだが、ほんとうはやっぱりあの正宗四川担々麺を再現して欲しいと思う
あの担々麺は、もう日本にはないだろうし、中国でも消えゆく味なのだ
天華がない今、担々麺を食べるならぼくは四川飯店にいく
日本式の担々麺ではあるが、完成度が高い
とりあえず汁あり担々麺なら、四川飯店があれば充分だ
汁なし担々麺は、まだ店を見つけられていない
だから、あまり食べなくなった
下手に食べても、ガッカリするだけだから
歳をとると、食べたいものを失う経験が増えていく
悲しいけど、仕方ないことなのだ